ヨハネ 11:1-27 - 口語訳聖書54/55年版
1
さて、ひとりの病人がいた。ラザロといい、マリヤとその姉妹マルタの村ベタニヤの人であった。
2
このマリヤは主に香油をぬり、自分の髪の毛で、主の足をふいた女であって、病気であったのは、彼女の兄弟ラザロであった。
3
姉妹たちは人をイエスのもとにつかわして、「主よ、ただ今、あなたが愛しておられる者が病気をしています」と言わせた。
4
イエスはそれを聞いて言われた、「この病気は死ぬほどのものではない。それは神の栄光のため、また、神の子がそれによって栄光を受けるためのものである」。
5
イエスは、マルタとその姉妹とラザロとを愛しておられた。
6
ラザロが病気であることを聞いてから、なおふつか、そのおられた所に滞在された。
7
それから弟子たちに、「もう一度ユダヤに行こう」と言われた。
8
弟子たちは言った、「先生、ユダヤ人らが、さきほどもあなたを石で殺そうとしていましたのに、またそこに行かれるのですか」。
9
イエスは答えられた、「一日には十二時間あるではないか。昼間あるけば、人はつまずくことはない。この世の光を見ているからである。
10
しかし、夜あるけば、つまずく。その人のうちに、光がないからである」。
11
そう言われたが、それからまた、彼らに言われた、「わたしたちの友ラザロが眠っている。わたしは彼を起しに行く」。
12
すると弟子たちは言った、「主よ、眠っているのでしたら、助かるでしょう」。
13
イエスはラザロが死んだことを言われたのであるが、弟子たちは、眠って休んでいることをさして言われたのだと思った。
14
するとイエスは、あからさまに彼らに言われた、「ラザロは死んだのだ。
15
そして、わたしがそこにいあわせなかったことを、あなたがたのために喜ぶ。それは、あなたがたが信じるようになるためである。では、彼のところに行こう」。
16
するとデドモと呼ばれているトマスが、仲間の弟子たちに言った、「わたしたちも行って、先生と一緒に死のうではないか」。
17
さて、イエスが行ってごらんになると、ラザロはすでに四日間も墓の中に置かれていた。
18
ベタニヤはエルサレムに近く、二十五丁ばかり離れたところにあった。
19
大ぜいのユダヤ人が、その兄弟のことで、マルタとマリヤとを慰めようとしてきていた。
20
マルタはイエスがこられたと聞いて、出迎えに行ったが、マリヤは家ですわっていた。
21
マルタはイエスに言った、「主よ、もしあなたがここにいて下さったなら、わたしの兄弟は死ななかったでしょう。
22
しかし、あなたがどんなことをお願いになっても、神はかなえて下さることを、わたしは今でも存じています」。
23
イエスはマルタに言われた、「あなたの兄弟はよみがえるであろう」。
24
マルタは言った、「終りの日のよみがえりの時よみがえることは、存じています」。
25
イエスは彼女に言われた、「わたしはよみがえりであり、命である。わたしを信じる者は、たとい死んでも生きる。
26
また、生きていて、わたしを信じる者は、いつまでも死なない。あなたはこれを信じるか」。
27
マルタはイエスに言った、「主よ、信じます。あなたがこの世にきたるべきキリスト、神の御子であると信じております」。